Webライティングは二度輝く
ボーンさん!!!
氷ってこれくらいで大丈夫ですか!?
そんな量じゃダメ!
すぐに溶けてしまうわ!
お、俺・・・!
外まで氷を買いに行ってきます・・・!!!
高橋くんっ!!!お願いっ!!
めぐみさん!
ひとまず、ここにある氷で氷袋を作る準備をしておいて!
はい!!
・・・本PCの耐久時間10分。
算出した必要な規定外時間10分。
OK、ボーン。
その10分間、CPUをオーバーヒートさせないための氷がいるってことね・・・!
高橋くん!
ありったけの氷を調達して!
お願い!
わ、分かりました!!
とにかく買ってきます!!
頼むわよ・・・!
高橋くん・・・!
俺の身体は温まった。
・・・始めるぞ
OK、ボーン・・・!
「ボーンズIME」とは、パソコンに備わっている文字入力ソフトウェア(IME)を、ボーン自らがカスタマイズしたものである。
このIMEには、Web制作で用いられるあらゆる「文字列」が超高速で呼び出されるようになっており、例えば、
といったコードも、「どく」と打つだけで入力されるのだ!
文字を打つことの多い人は、よく使う単語をIMEに辞書登録しておこう!
は、早い・・・!!
なんてタイピングスピードなの・・・!
ボーンの強靱な肉体と、高速処理する頭脳が成せる技ね・・・。
今ボーンに近づくと危ないわよ。
彼のタイピングが起こす真空波に巻き込まれると、大切な顔に傷がついちゃうから。
ゴ・・・ゴクッ・・・。
彼のタイピングを見て何か気付かない・・・?
・・・あっ・・・!!!
「BackSpace」キーを押す回数が多い・・・!
そうよ。
彼は文章を書いては消し、書いては消しを繰り返し、文章の「推敲」を高速でおこなっているの。
自分が書く文章がもっとわかりやすくなるように。
推・・・敲・・・!?
同じテーマを扱うにしても、「わかりやすい文章」「読みやすい文章」を大切にするかどうかで、伝わり方は全然変わってくるわ。
ボーンはね、「もっとわかりやすい表現はないか、もっと読みやすい言葉はないか」を考えながら文章をつくるの。
あ、今、ボーンさんが作成されている文章って・・・。
もしかして・・・!?
そう。
マツオカのWebサイトで使う文章よ。
みるみるうちに文章ができていく・・・!
彼の頭の中にはね、マツオカのテーブルが届いた時の感動体験が浮かんでる。
その時の思いを文章として紡いでいるの。
ボーン・・・頑張って・・・!
そうか、マツオカはSEOサービスの解約を申し出てきたか。
はい、遠藤社長。
フッフッフ・・・。
あいつめ、まさか日本でWebマーケッターとして活動していたとはな。
その部屋にはガイルマーケティング社の井上と、遠藤と呼ばれる男がいた。
ボーン・片桐か・・・。
クックック。
遠藤はワイングラスを片手に不気味に笑った。
彼は我々からのメッセージに気付いたはずです。
それでも、あえて、我々に勝負を挑んできた・・・。
フッ、哀れなヤツよ。
マツオカと弊社の契約状況ですが、3年間のリース契約を結んでおりました。
そのため、本来であれば、あと「33ヶ月」の契約期間が残っておりますが、先方都合による解約のため、マツオカには残り33ヶ月分の支払い義務が残っております。
・・・その分は、我が社の不労所得でございます。
ふふふふ・・・。
フッ、そんな収益など、我が社にとってはスズメの涙。
もっと大きな魚が釣れたことに喜ぼうではないか。
ははーっ!
例の準備はできているか?
はっ!来週にはすべてローンチされる予定でございます。
フッフッフ・・・。
ボーン・片桐。元クロスアナリティクス社のトップマーケッターよ。
アメリカでその地位を失った貴様が日本へ来ていたとは。
クロスアナリティクス社の分子は徹底的に消さねばならん。
我がガイルマーケティングのために・・・!!
・・・フッフッフ・・・ハーハッハッハッハ!!!
どんどん文章が出来上がっていく・・・!
すごいタイピングスピードです・・・!
フフフっ、彼は1秒間で16回のキータッチをおこなうわ。
ボーンズIMEをベースに考えれば、スペースキーを含め、1分間に404文字を打つ計算ね。
1分間に404文字・・・!
あの文字数だと、おそらく今、7分が経過したところね・・・!
あと、3分で・・・。
ああっ!!
ボ、ボーンさんのPCから煙が出始めました・・・!
な、なぜ・・・!?
CPUの限界稼働時間まで、まだ3分あるはずよ・・・!
いつものボーンのキータッチ数から算出するのであれば、まだ7分ほどのキータッチ数のはず・・・!!
はっ!!!
ど、どうされたんですか?
キータッチ数で時間換算していたのがマズかったわ・・・!
・・・気付けなかった!
ボーンのタイピングスピードが・・・遅くなっていることに・・・!
ええっ!?
ボーン・・・!
「ウェイバックマシーン」を繰り出した時に、中指を負傷していたのね・・・!
ウェイバックマシーン!?
あ、さっきの・・・!
中指を負傷したって、どういうことですか!?
「エンターキー」よ。
エンターキーを勢い良く押した際に負傷したの。
えっ・・・!?
さっきボーンが使ったキーボードは、めぐみさんのキーボードだったわ。
彼が普段使っている40KgのノートPCとは重さが違う。
彼のエンターキーの衝撃を吸収しきれず、その衝撃をボーンの中指に返してしまったのね・・・。
強い力にはね、強い受け皿が必要なの。
プロのピアニストが“おもちゃの鍵盤”を演奏すると、かえってその指を痛めるように・・・!
そ、そんな・・・!!
・・・おかしいわね。
いつもなら力の加減ができていたはずなんだけど・・・。
一体、どうして・・・!?
ボーンのPCが危ないわ!
すぐに彼のPCを冷やさなきゃ!
今ここにあるすべての氷をビニール袋の中に入れて渡して!!
はっ、はい!!
あああっ!!
・・・袋・・・やぶけちゃいました・・・。
えっ!?
くっ・・・!
ああっ、ボーンのPCがさらに発熱してる!!
あと少しで・・・!!
・・・爆発する!!
もう、時間がないわ・・・!!!
これを使ってくれっ!!!
高橋くん!!!!!
・・・お前の氷、受け取った!
あっ・・・!
ね、熱風がおさまっていきます・・・!
ふうっ・・・。
ギリギリセーフってとこね・・・。
高橋くん、よくやったわ・・・!
い、いやあ、それほどでも・・・。
すぐに換えの氷袋を頼む。
換えの氷袋ね!
高橋くん!ボーンに氷袋をどんどん渡して!
りょ、了解っ!!!
・・・Webライティング、完了。
ほっ・・・。
・・・ぴったり16分。
さすがボーンね。
スマートフォンのメールアドレスを教えてくれ。
えっ!?はっ、はい!
私のアドレスは・・・
megumi-matsu○ka@xyzweb.co.jpです。
今からメールを送る。
メール・・・?
あっ・・・!
・・・これは・・・さっきボーンさんが打っていた文章ですか?
そうだ。
なぜ、私のスマホに・・・?
ここからは、お前と高橋の仕事だ。
俺のPCはしばらく起動できない。
お前たちに作業してもらう。
俺とめぐみさんで・・・?
二人とも、まずは、ボーンが書いた文章をスマートフォンで読んでみて。
はっ、はいっ!!
あ、高橋くんのスマホへは私から転送するね。
お、お願いします!
――私もマツオカさんで作ったテーブルを使っています。
選び抜かれた天然木の質感はとても温かく、家族全員が気に入っています。
(神奈川県 山岡様)
――マツオカさんのことを、京都府の中山さんから教えていただきました。
老舗ならではの職人さんのこだわりに感動しています。
(東京都 神森様)
――生まれてはじめてオーダー家具をつくろうと思いました。
親身に相談にのっていただけて安心しました。
(栃木県 吉田様)
あなたは、マツオカのことを知人から聞いて、このサイトにお越しになったでしょうか?
もしくは、インターネットで検索していて辿りつかれたでしょうか?
はじめまして、オーダー家具の専門店「マツオカ」のWebサイト担当 松岡めぐみです。
マツオカはこれまで、リピーターのお客さまを大切に、お客さま一人一人のご希望に沿った家具を製作してきました。
テーブル、デスク、チェア、キッチン台、本棚、リビングボードなど、30年間、約2,400点のオーダー家具を作りつづけてきました。
2,400点と聞くと、大きな数字と思われるかもしれませんが、30年で割ると1年で80点です。
12ヶ月で割ると、月に約7点の家具を製作してきたことになります。
この数字からおわかりの通り、マツオカは決して大きな製作所ではありません。
スタッフの数は、専属の職人さんを入れても8名という小さな会社です。
ですが、どこにも負けない、良質な家具を作りつづけてきたという自信があります。
小さな会社であるマツオカが、30年の間、家具を作ってこれたのは、マツオカで家具をご注文いただいたお客さまが、マツオカの家具を気に入ってくださり、マツオカのことを多くの方にご紹介してくださったからでした。
本当に感謝しています。
ここからは、マツオカが考える「オーダー家具を作る際に一番大切なこと」を少しお話させてください。
「オーダー家具」という言葉を聞くと、おそらく、多くの方が「職人さん」という言葉を頭に浮かべるのではないでしょうか?
たしかに、家具の製作において、職人さんの技術はとても大事です。
ただ、マツオカでは、その「技術」よりもっと大切なことがあると考えています。
それは、お客さまとコミュニケーションをとる力です。
インターネットの環境が日本中に整ったことで、お互いの顔を見ずとも、インターネット上だけで取引が完結する業態が増えています。
例えば、家具業界においても、既製品のテーブルやイスが、メール一本で届く時代となりました。
そんな便利な時代ですが、オーダー家具はメール一本で届けるというわけにはいきません。
世界にたった一つしかない、お客さまだけの家具をつくるには、お客さまの要望をしっかり聞くためのコミュニケーションが大切だからです。
誠に恐縮ながら、お客さまは家具のプロではありません。
自分の頭の中にある家具のイメージを伝えたいと思っても、言葉がなかなか出てこないことが多くあるはずです。
だからこそ、私たちプロが、お客さまの思いやイメージを感じ取り、「そうそう、こんな家具が欲しかったんだ」という正解を導き出す必要があると考えています。
そして、そのために必要な力こそが、コミュニケーション力だと思うのです。
マツオカを30年間ずっと支えてくださっているベテラン職人の阿部さんはいつもこう言います。
「質の良い家具をつくる“技術”なんて、職人ならもってて当たり前だ。
もっと大事なことは、お客さんから信頼してもらえる職人になれるかどうかなんだよ。
オーダー家具は、その家具を必要としている人のために作る家具だ。
だから、注文してくれたお客さんからの要望をしっかり聞き、お客さんが本当に求めているものを作らなきゃいけないんだ。
例えば、もし、オーダー家具を注文したことのないお客さんなら、俺たち職人がどんな風に製作を進めるか、その裏側まで知ってもらう。
そうすることで、お客さんはオーダー家具に関する知識が身につき、そうすれば、俺たちに要望も伝えやすくなる。
だから、まずは、お客さんとコミュニケーションをとることが大切なんだ。
もし、お客さんが要望を言いにくい空気を出す職人がいるとしたら、ダメダメだ。
“こだわり”という言葉で誤魔化して、他人の意見を聞こうとしない職人なんて、最悪だ。
俺たちの仕事はお客さんの思いを形にする仕事だ。
だから、お客さんに信頼してもらうことが、何よりも大切なんだよ」
うちの阿部さんは、笑顔でそういうことを私たちに教えてくれます。
一般的な職人さんのイメージというと、どこか気難しくて、頑固なイメージがあるかもしれません。
・本当に自分の欲しい家具を作ってくれるのだろうか?
・途中でデザインの調整をお願いしても大丈夫だろうか?
私は、マツオカのつくる家具に憧れ、この業界に入りました。
5年前までは大学の建築科に通っていたため、家具業界歴はまだまだ浅い人間です。
ただ、私は、自分の父がこのマツオカで働いていた姿をずっと見てきました。
そういう意味では、家具業界歴は長いかもしれません。
職人さんと二人三脚で、素敵なお客さまに囲まれ、笑顔で仕事をしてきた父。
そんな父の姿を見て、私はいつか家具に関わる仕事がしたい、そう思い続けてきました。
そんな私がマツオカの家具を初めて購入したのは、大学3年生の時です。
これまでのアルバイトで貯めた貯金を使って、マツオカで一つのオーダー家具を作ってもらうことにしました。
その家具は、私が一人暮らししている部屋に置く、小さなオークのデスク。
小さなデスクでしたが、私にはこだわりがあった。
天板の裏に至るまでこだわりたかった。材質も「これが良い」と決めてました。
職人さんからしたら、家具に詳しくない私の細かな注文を聞くのは大変だったと思います。
でも、マツオカの職人さんたちは、嫌な顔一つせず、私の要望を笑顔で聞いてくれました。
私の細かなこだわりを聞くだけでなく、「こうしたほうが良いよ」というアドバイスや、家具の製法や素材の選び方も一つずつ教えてくれました。
そして仕上がったデスクは、私の宝物となりました。
今も私の仕事のデスクとして使っています。
中には、他の工房で高い予算をかけて作ったテーブルが合わず、マツオカにて、新しくテーブルを作られた方もいらっしゃいました。
家具を作るということは、費用だけでなく、あなたの大切な時間を使うということです。
打ち合わせ、製作、すべてに時間がかかります。だからこそ、ご自身に合った製作所に出会っていただきたいと強く思います。
マツオカは、オーダー家具に興味のあるすべての方にとって身近な製作工房でありたいと思っています。
また、必要に応じて、出張もさせていただきます。
この文章・・・なんだか・・・すごく心に響きます・・・。
これが・・・言葉の力・・・。
あ・・・!で、でも、職人さんの言葉なんて、今のサイトに書かれていなかったのに・・・!
ボーンはね、マツオカの職人さんから実際に話を聞いたのよ。
えっ・・・!?
い、いつ・・・!?
高橋くんが家具を検討していた1週間の間にね。
し、知りませんでした・・・。
・・・ストーリーはいつも現場に眠っている。
・・・!!
職人さんのところには御礼の手紙がよく届くそうね。
マツオカの家具は納品される際、納品書に「職人さんの名前」が書かれてる。
家具を気に入った方が、職人さんに感謝の気持ちを伝えるために手紙を送っていると聞いたわ。
は、はい、うちの職人さんに時々お手紙が届いていたことは知ってました・・・。
手紙の内容は読んでる?
あ、最近はあまり・・・。
Web担当者失格だな。
えっ、あっ・・・。
す・・・すみません・・・
そうですよね・・・。
うちの家具の評価を知る機会なのに・・・。
以前は、職人さんに届いたお手紙はすべて見させてもらっていたんですが、職人さんへのお手紙なのに、私が「毎回見せてください」って言うのはなんだか気が引けて・・・。
そんなこと遠慮する必要ないわよ。
えっ・・・?
だって、職人さんは手紙を見てもらいたがってるわよ。
お客さまから嬉しい手紙をもらったら、他の人に自慢したくなるでしょ?
自分が良い仕事をしたってことを認めて欲しいのが人間よ。
・・・!!
お客さまから褒められるのは勿論嬉しいけど、それ以上に嬉しいのは、一緒に働く仲間から褒めてもらえることだったりするの。
まあ、そういう本音を表に出せる人は少ないけどね。
ずっと一緒に仕事を続けていると、お互いを褒める機会はどうしても減っていく。
でも、誰かに嬉しいことがあった時には、やっぱりスタッフみんなでその喜びを共有したほうがいいの。
・・・私・・・Web集客のほうにばかり意識がいってました・・・。
大事なことは、外より「中」にあったんですね・・・。
私、社長代理失格だな・・・。
・・・いやいや・・・!
めぐみさんはいつも頑張ってくれてますよ!
俺、感謝してますから!!
そう、めぐみさん、落ち込むことはないわ。
これから気を付けていけば良いじゃない。
お父様が倒れられて、Web集客も早急に改善しなくちゃいけない。
そんな状況だったら余裕がなくなるのは当然よ。
でも、そういう時だからこそ、大切なものを見逃さないようにしなくちゃね。
・・・はい!
そう・・・めぐみさんが悪いんじゃない、俺ももっと職人さんと話すべきだったんだ。
現場の声を知らずに、デザインなんてできるわけないもんな。
・・・おっさんが書いたさっきの文章を読んで・・・そう思ったよ。
高橋くん・・・。
あ、あの・・・、さっきボーンさんから送っていただいた文章、すごく心に響きました。
あれがストーリーの力なんですね・・・!
私がこんなことを言うのも変なんですが、「マツオカの職人さんに家具を作ってもらいたい」という気持ちになりました・・・。
た、確かに・・・。
普段あんまり文章を読まない俺でも、つい読んじまった・・・。
何だったんだろ、あの文章・・・。
「セールスレター」だ。
セールス・・・。
レター・・・!?
そう、セールスレター。
直訳すると「売るための手紙」。
セールスレター!き、聞いたことがある!
確か・・・、なんだか怪しいセミナーで、その言葉が使われていた・・・。
え・・・。
怪しいセミナー!?
高橋くん、そんなセミナーへ行ってたの?
い、いえいえいえいえ!
YouTubeの動画ですよ!
最近、YouTubeで怪しげなネットビジネス系セミナーの動画がたくさん上がってるんです。
ちょ、ちょっと・・・。
ほら!めぐみさん!
この動画を観てください!!
な、何これ・・・!?
「主婦でも分速で30万稼げる」とか・・・・。
怪しいですよね。
そうそう、この動画の途中に、セールスレターって言葉が出てくるんですよ。
この人たち曰く、セールスレターをしっかり書けば、商品が飛ぶように売れて、その世界では「レターの魔術師」と呼ばれる人たちもいるそうです!
ま、魔術師・・・!?
ゴ、ゴホン。
はっ!す、すみません。
何から説明すれば良いかしら・・・。
・・・まず、セールスレターという言葉は全然怪しくないということを知っておいて。
セールスレターはね、元々、「DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)」の世界で使われていた言葉なの。
ダイレクト・・・
レスポンスマーケティング・・・?
そう、ダイレクトレスポンスマーケティング。
DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)というのは、その商品に興味のある「見込み客」や「購入者」に個人的なプロモーションを介して商品を販促することよ。
簡単にいえば、不特定多数の人にターゲットを絞るのではなく、商品に興味のありそうなお客さま一人一人にターゲットを絞って、マーケティングをおこなう手法ね。
ダイレクトレスポンスマーケティングとは、1961年にレスター・ワンダーマンが、科学的な広告原理に基づき提唱したマーケティング手法である。
テレビCMなどの、不特定多数を相手にしたマスマーケティングとは違い、広告に対して何らかの反応をした見込み客へセールスをおこなっていく。
従来の広告の目的である「製品やサービスを直接販売すること」よりも、「顧客の反応(レスポンス)を獲得すること」をメインにしている。
通信販売会社やネットショップの中には、この手法を用いることで、多大な成果を挙げているケースが多い。
今回のWebサイトリニューアルの目的はね。
そのダイレクトレスポンスマーケティングの“エッセンス”をサイトに入れるところにあるの。
エッセンス・・・!?
そこで使うのがセールスレターだ。
・・・!?
セールスレターはね、ダイレクトレスポンスマーケティングでよく使われる手法なの。
画面の前にいる一人のお客さまに対して、手紙を送るような感覚で文章を書き、お客さまの心を動かし、購入へつなげる。
商品説明文をただ掲載するだけでなく、ストーリーなどをうまく交えることで、思わず読みたくなる文章に仕上げる手法よ。
・・・!
たしかに、さっきのボーンのおっさんの文章は最後まで読んでしまった・・・!
ふふふ。
あ、でも・・・。
何かしら?
さっきの文章、すごく心に響いたんだけど・・・。
なんだろ・・・。文章だけじゃダメな気がする・・・。
・・・。
・・・オーダー家具みたいな高い商品を買う人って、やっぱり実際の写真とかをもっと見たいだろうなあ・・・って。
天板の裏面はどうなってるかとか、細かな仕上げはどうなっているかとか、言葉ではわからない、実物の情報も欲しいのかな・・・って思ったり・・・。
正解だ。
・・・えっ!?
セールスレターは言葉だけで完結するものではない。
言葉やストーリーの力で“夢”を見せ、写真や動画で“リアル感”を伝えてこそ、成立するのだ。
リアル感・・・!?
言葉の強みは、頭の中でイメージを膨らませることができる点だ。
たとえば、小説などの文章を読んでいるとき、頭の中は、その小説の世界を自然にイメージしようとする。
たしかに・・・。
文字だけの情報なのに、いつの間にか頭の中にイメージが広がっているってことはよくある・・・!
良いセールスレターは、言葉の力を用いて、お客さまの頭の中に「商品を購入した後のワクワクする未来」をイメージさせる。
ストーリーをうまく使って、お客さまのワクワク感を高め、やがて、その商品を自然と購入したくなる心理にさせる。
しかし、“ワクワク”と同時に生まれる感情もある。
それは、“不安感”だ。
不安感・・・!
そう。不安感はワクワクと対極にある心理。
「このサイトは大丈夫だろうか?」「変な商品が届かないだろうか?」といった、現実を振り返った時に生まれる不安。
これらの不安は言葉だけでは払拭できないわ。
不安を払拭するためには、リアルで視覚的な情報が必要になるの。
そこでオススメしたいのが、写真や動画の活用よ。
写真や動画の活用・・・!?
Webサイトは、人間の五感のうち、「視覚」「聴覚」しか表現できない。
家具の場合、視覚だけでなく「触覚」も重要になるが、Webサイトではそれは表現できない。
だから、その足りない触覚を補う意味で、リアルで視覚的な情報に力を入れるのだ。
リアルで視覚的な情報・・・。
なるほど・・・!
だから俺のデザインはダメだったのか・・・!
俺のデザインはアート性を意識しすぎて、リアルで視覚的な情報が少なかった・・・。
そう、アートはね、Webサイトをお洒落に演出することで、お客さまをワクワクさせることはできても、不安感を拭い去ることは難しいの。
そうか・・・!
方向性が見えてきた・・・!
リアル感を伝えるために、もっと写真を掲載すれば良いんだな!
そうね。ただ、注意すべきは、バランスよ。
リアル感が重要だからといって、お客さまを夢から現実に引き戻すような写真を掲載してはいけない。
たとえば、無造作に積み上げられた段ボールや、ヨレヨレのシャツを着たスタッフが写真に写っていたら、ワクワク感は一気に冷めるわよね。
たとえリアルな写真であっても、“美しさ”は意識しないといけない。
あくまでも、Webサイトは「ショーウインドー」であることを意識しろ。
ショーウインドー・・・!
そろそろ、Webサイトに掲載すべき情報がまとまってきたようだな。
ヴェロニカ、今までの話と、俺のノウハウを簡単にまとめて、二人に教えてやってくれ。
OK、ボーン。
高橋くん、めぐみさん、これから私が話すことをメモしておいて。
ボーンのセールスレターに込められた“狙い”をしっかり理解できれば、今後のWebマーケティングにおいて参考になるノウハウがたくさん身につくはずよ。
そして、高橋くんの新デザインの方向性も決まるはず。
はいっ・・・!!
セールスレターを書くときは以下の7つの点を意識するとよいわ。
ボーン流セールスレターのノウハウ 7箇条
- お客さまの代名詞は、「皆さん」ではなく、「あなた」で書く
- 「ストーリー」を使って、お客さまの感情を動かす
- 「写真」や「動画」を使い、ストーリーに足りない“リアル感”をプラスする
- 弱みや失敗談などの「ネガティブな情報」を入れ、“リアル感”と“信頼性”をプラスする
- 「お客さまの声」や「販売実績」「受賞実績」などの情報を足し、“客観的な信頼性”をプラスする
- お金の節約より「時間」の節約について訴求するなど、新たな軸でお客さまに気付きを与える
- ページ移動などでお客さまのテンションを冷まさないよう、セールスレターはできるだけ「1ページ」にまとめ、ページの最後の文章まで気を抜かない
なるほど・・・!
「皆さん」ではなく「あなた」という代名詞を使って文章を書くわけか・・!
そういえば、さっきのボーンさんの文章も「あなた」という代名詞で書かれていたわ・・・!
セールスレターは売るための「手紙」だから、不特定多数の人に向けて書くよりも、特定の誰かに向けて書くほうがいいの。
なるほど・・・!
弱みや失敗談などの「ネガティブな情報」を入れるってのも、目から鱗だった。
たしかに、いいことばかり書かれていても、逆に怪しく感じてしまうもんなあ。
そうだ。
弱みや失敗談などはそのまま書けばネガティブな情報としてしか映らないが、ストーリーの中で書けば、ストーリーを盛り上げるひとつの要素になる。
なるほど・・・!!
そして、“客観的な信頼性”をプラスすることも重要よ。
客観的な信頼性・・・!?
ストーリーはしばしば主観的な情報になりがち。
どれだけ素晴らしいストーリーも、「このストーリーは本当だろうか・・・?」と思われてしまうと元も子もないわ。
だから、その信頼性を証明する情報が必要なの。
そこで、「お客さまの声」や「販売実績」などの情報を入れる。
たしかに、買い手の立場になると、「お客さまの声」が掲載されているほうが安心する・・・!
さっきのボーンさんのセールスレターの最初にも「お客さまの声」が書かれていました・・・!
そう。
お客さまの声の見せ方にはいろいろな方法があるけれど、ボーンは「お客さまの声」をキャッチコピー的に使って、これから読まれるセールスレターの信頼性を担保したわけね。
そういう理由だったのか・・・!
よし、セールスレターのノウハウを概ね理解したようだな。
お前たちがこれからおこなうことは、俺のセールスレターをページとして仕上げることだ。
俺のセールスレターは完成しているが、まだ、リアル感と客観的な信頼性が弱い。
リアル感と客観的な信頼性・・・!
それらを補うためコンテンツは何かしら?
「家具の詳細な写真」と「お客さまの声」!
そうだ。
家具の写真とお客さまの声・・・。
一応、今のマツオカのWebサイトにも掲載されていたけど、「安心感を与える」という意味では、もっとたくさん掲載しておいたほうがよさそうだわ。
あ、家具の写真は、製作事例だけでなく、製作する過程のもほしいですね・・・!
できれば、職人さんの写真なんかも・・・!
それは素敵!
あとはお客さまの声ね。
これは、職人さんへ届いた手書きの手紙を文字起こしするとよさそう!
その手紙は、文字起こしするだけでなく、写真に撮って掲載しておくと良いわよ。
そうすれば、お客さまの声にもリアル感を担保できる。
手書きの手紙の写真は、そのお客さまの声がウソでないことを証明し、サイトの信頼性を飛躍的に高めてくれる。
わかりました!
私、職人さんに聞いて、手紙を集めてみます!
宜しくね。
さて・・・と、さっきのボーンのセールスレターに写真などを配置していったら、結構、縦に長いページになりそうね。
・・・あ、あの・・・。
実は俺、縦に長いページって、全然受け付けないんです。
ダサく見えてしまって・・・。
・・・でも・・・。
・・・でも?
ただカッコイイだけのサイトと、売れるサイトは違うんだって思いました。
だって、俺、結局、「デザラボ」のサイトから買っちゃいましたから。
あのサイトには、他のサイトにはない情報量・・・そして、安心感があった。
そうだ。
今回のサイトの目的は「商品を売ること」。
ダサくても、そのページから売れるのであれば、それが正義だ。
・・・!
・・・とはいえ、俺もダサいページはゴメンだ。
センスのよいセールスページを作って、お前のデザイン脳に染みついたその偏見を取り払ってみろ。
センスのよいセールスページ・・・!
センスのよいセールスページには、ロジカルでエモーショナルな美しさがある。
・・・ロジカルでエモーショナル・・・!
文章をただ流し込むだけでも、いろいろなデザインセンスが必要よ。たとえば、読みやすくするために行間を調整したり、強調を加えたり。
素材をいかにうまく調理・演出できるかも、デザイナーのセンスの見せどころなの。
素材の調理と演出・・・!
マツオカのWebデザイナーとして、オーダー家具業界一のセールスページを作ってみろ。
・・・お・・・おう!!!
お前は、マツオカの救世主だ。
お前が氷をかき集めてこなかったら、俺のPCは炎上し、今頃、マツオカの店舗は灰になっていただろう。
・・・!
そ、そうよ!!
高橋くんのおかげで、この店舗は灰にならなくて済んだんだから!
高橋くんの氷集めのセンスは素晴らしいわ。
へっ、デザイナーたるもの、いつも冷静でいろって言うしな。
冷静な俺にとって、氷を集めることくらい、朝飯前さ。
高橋くん・・・!!
あとはお前たちに任せる。
3週間でサイトを仕上げてアップしておけ。
俺たちはそのさらに1週間後に来る。
二人とも宜しくね。
マツオカの運命は二人にかかってるわ。
はいっ・・・!!
高橋くんっ!
私、職人さんの力を借りて、お客さまの声をできるだけ集めてくる・・・!!
めぐみさん、お願いします!!
そうして、めぐみ&高橋によるサイトリニューアルが始まった・・・!
・・・これが、マツオカの新しいサイトね。
追試は与えずに済みそうだな。
ボーンさん!!
サイトからのお問い合わせの数が以前の2倍になりました!!
すごいです!!
本当にありがとうございます!!
あんた・・・本物のWebマーケッターだったんだな。
悪かったよ、色々文句を言ったりして。
・・・マツオカのサイトを蘇らせたのは、お前たち二人の力だ。
胸を張れ。
ボーンさん・・・!
おっさん・・・!
・・・ボーン、これを見て。
!!
ん?
おっさん、どうしたんだ?
・・・。
えっ?
PCの画面がどうされたんですか?
こっ・・・これは・・・!!!?
えっ、えええええええ!!!?
なんだよ・・・これ・・・!!
検索結果の上位が「比較サイト」で埋まってる・・・!
ついに仕掛けてきたわね・・・。
ガイルマーケティング。
えっ、な、何、こいつら。
これも、これも・・・、このサイトもだ・・・!!!
比較サイトなのに、うちのことをまったく取り上げてないじゃないか!
こんな・・・!こんなことってあるんですか・・・!!?
・・・これからが本当の闘いだ・・・・!
「言葉」の力を使ったリニューアルに成功したマツオカのサイト。
問合せ数は倍増し、めぐみと高橋は今後の集客の期待に胸を弾ませる。
しかし、そんなマツオカのサイトにガイルマーケティングは罠を張り巡らせていた!
襲いかかる数多の「比較サイト」を相手に、ボーンはどのように闘うのか・・・!?
次回、沈黙のWebマーケティング第四話、
面ではなく点で突破せよ!「逆襲のSWOT分析」
今夜も俺のインデックスが加速する・・・!